なぜ、経営計画の運用が経営に必要なのか

なぜ、経営計画の運用が経営に必要なのか

2022.03.09

代表税理士 山中 恭平

大企業が当たり前に運用している経営計画。
なぜ、経営計画の運用が経営に必要なのか、経営計画を運用できるとどうなるのか、わかりやすくご説明させていただきます。


なぜ、経営計画の運用が経営に必要なのか



経営計画を運用する価値

経営計画という言葉は耳にしたことありますでしょうか。事業計画も同じような意味合いです。

経営計画とは、経営の将来について計画を立て、その計画を実行し、試行錯誤しながら安全に計画の実現に向かっていくことをいいます。

計画を立てただけでもだめで、実行します。計画を実行するだけでもだめで、計画通りになるように試行錯誤します。利益を無視してもだめで利益が出るように安全に計画の実現に向かっていきます。

銀行など誰かに求められて作る経営計画ではなく、自社のために自社で運用していく経営計画のお話になります。
経営計画を運用できると、経営者が考える経営の目標の実現や経営課題の解決など、経営を組織全体でしっかりと前に進めていくことができるようになります。

早速質問ですが、実現したい経営の目標ややりたいこと、解決したいと思っている課題や不安はありますか?それらはしっかり実現や解決に向かっていますか?

経営計画の必要性やメリットはたくさんありますが、時間やお金をかけて運用するうえで、それ以上の価値が直接的に発生する部分は、運用することで経営全体が前に進みやすくなる部分です。

経営計画という言葉を聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、難しく考えないでください。
計画的に経営をするのと、無計画で経営をするのはどちらが前に進みますか?
計画的に勉強をするのと、無計画で勉強をするのはどちらが試験に合格しやすいですか?
スポーツ選手、トレーニングは計画的に行っていますか?無計画で行っていますか?
経営の目標の実現、課題の解決、計画的に進めるのと、無計画で進めるのとどちらが前に進んでいきますか?
計画的の方が前に進みますよね。必要か不必要かについては、シンプルにこれだけの話です。

本当に前に進みやすくなるのか?統計データもあります。
中小企業庁の2020年版「小規模企業白書」によると、経営計画を運用している企業の方が、売上、利益、従業員数が増加している割合が多いという統計データがあります。この増加の差というのは前への進み方の差でもあります。より前に進むから運用している方が増加している企業の割合が多いわけです。

価値をご理解いただいたところで、経営計画を使って具体的にどうやって前に進みやすくするのか、経営計画の運用の全体像を見ておきましょう。

※スマホの方は一度画面を横にしてご覧ください。

経営計画を運用することで図の流れが生まれ、経営者が考える経営の目標の実現経営課題の解決など、経営がしっかり前に進んでいくようになることが、先ほどお話しした経営計画を運用する最大の価値です。

経営計画を運用することでやみくもに経営をするのではなく、しっかり将来を見ながら目指すべき将来にむかって、計画的に経営をすることができるようになります。
計画的に経営を行えるこの流れは経営をするうえで土台として必要なことです。そして、この流れは経営者にしか生み出せません。

経営計画の運用メリットは、他にもたくさんありますので、主要なメリットをお伝えしたいと思います。

【経営計画運用の主要なメリット】
経営の目標を明確にでき、将来を示して組織を引っ張っていくことができる
・経営の目標の実現課題の解決など、目先やるべきことを明確にできるので、より前に進むようになる
・計画的な経営で経営がより前に進むことで、業績UP採用力UP組織力UPなど経営が好循環になる
将来や経営全体を見て計画的に経営ができるため、世の中の変化や競争に対応できる
将来の利益やお金の流れが見え、黒字の将来に向かうことができ、将来の不安が軽減される
このように経営計画を運用できると、たくさんのメリットが生まれてきます。

大企業の経営者は、これらのメリットが欲しくて、経営企画部などを設置して、会計のプロなどと一緒に経営計画の運用を当たり前に行っています。大企業が行っているということは、経営計画の運用は、これらのメリットを得るために確立された仕組み・考え方であるということです。

これらのメリットを生むためには、組織のトップとして経営の舵を取っている経営者にしかできない、経営をするうえで重要な次の4つの仕事が必要になります。
・経営の目的や方向性、目的実現のための将来を示して組織を引っ張っていく
・示した将来へ、組織全体で試行錯誤しながら向かっていく流れを作る
・戦略戦術について、複雑で考えることが多岐にわたる経営全体を網羅的に考えて決める
・経営を継続させる
経営計画を運用できると、この4つの重要な仕事を網羅することができます。

メリットを生むために4つの仕事がなぜ必要なのか、経営計画を運用することでなぜその仕事ができるようになるのか、ご説明していきます。

目次に戻る

経営の目的や方向性、目的実現のための将来を示して組織を引っ張っていく

重要な仕事の1つ目は、「経営の目的や方向性、目的実現のための将来を示して組織を引っ張っていく」という仕事です。

質問です。皆さん、なぜ経営をしているのですか?

お金を稼ぎたいからですか?別に綺麗ごとを言いたいわけではないです。私も生活がありますのでお金は稼ぎたいですし、皆さんもお金を稼ぎたいと思っていると思います。
商売は相手がいることなので、相手を幸せにして自分たちも幸せになることが経営だと私は思っています。
「お金を稼ぎたいから」は自分の幸せに対する目的ですが、商品で提供したいこだわりなど商品を提供する相手の幸せに対する目的はありますか?
いわゆるミッションや経営理念と呼ばれるものです。

まずは、組織を引っ張る上で経営の目的が必要か考えてみましょう。

たとえ話で必要性をイメージしてみましょう。
あなたは今ラーメン屋さんへの就職活動をしているとします。
2人の社長の話を聞きに行き、どちらに就職しようか考えているあなたはその会社のことが知りたくて、社長に「社長の会社はどのような会社なんでしょうか?」と質問をしました。

A店の社長は、「こんなこだわりのあるラーメンで自分が生まれ育った地元のみんなを元気にしていくことを目指している会社だよ。その実現に向けて今新しい店舗を増やす予定なんだ。」

B店の社長は、「どのような会社?ん?ラーメン売ってる会社だよ。」

どちらの会社に就職したいですか?恐らくA店ではないでしょうか?

A店の社長は経営の目的や方向性、相手に届けたい商品に対するこだわり、その目的の実現に向けた将来の目標が明確で、質問にもすぐ答えることができます。
B店の社長のように経営の目的や方向性がぼやっとしている社長よりも、その目的や方向性、こだわりに共感や尊敬が生まれ、その目標の実現に自分も貢献したいなど人の心を引き付ける力があります。また、実現に向けて具体的な将来も考えており、安心してついていくことができます。これは組織を引っ張っていくということにつながります。

目的があることで経営の方向性や、目的実現のために、こだわりの商品を多くの人に届けるなど向かうべき将来の目標が明確になり、皆が迷わないようバシッと「ここにいくぞ」と、どこに行くのかを示すことができるようになります。そうすることで、経営者の考えに共感や尊敬、安心を感じて一緒に目的を実現したいと思う方が集まり、その集まった人たちを引っ張っていくことができるようになります。この引っ張る力は組織がまとまるためにリーダーにまず求められるものです。
考えがぼやっとしていて、はっきりと向かうところを示してくれないリーダーについていきたいとは思わないですよね。皆さんがA店の方に就職したいと思ったということは、たとえ話ではありますが、A店の社長の引っ張る力によって引っ張られたということです。皆さんが思うということは、職を探している人やスタッフも同じです。

自分自身が何のために経営をしていて、将来どこに行くのか目標がよくわかっていなかったら、組織を引っ張っていくことなんてできませんし、将来ここにいくという目標が明確になっていなかったらそこに向かっていくことすらありません。
広い市場のなかであっちかなこっちかなと、組織としてどこに向かっていけばよいのか目指すところがないぶれぶれの経営で、ふわっとした組織になってしまいます。
経営の将来はスタッフの将来でもありますので、スタッフも将来が不安になってしまいます。

皆さん頭の中には「お客様に喜んでもらうために、こんなこだわりがある」「こんな会社にしたいな」など、経営の目的や方向性はあると思います。
ただ、それが皆さんの頭の中にあるだけではスタッフには伝わらず、共感や尊敬、安心を感じてもらうことはできません。
経営は終わりがないので目標を明確にしづらいかもしれませんが、皆さんの頭の中を言語化して見えるように目的や方向性、目標を明確にして、スタッフにも共有できる状態にし、共感や尊敬、安心を感じてもらえるように共有をすることで、深いレベルで組織を引っ張っていくことができるようになります。

続いて、そもそも組織を引っ張ることが、先ほどの図の流れを生むために必要なのか考えてみましょう。

先ほどのラーメン屋さんの続きで例えてみます。
A店の社長「目的実現のために新店舗増やすって話したと思うけど、今人手不足で効率化を考えないといけないんだ。どこか現場で効率化できそうなところがないか、考えてみてもらってもいいかな?」
社長の考えに共感していて自分も社長の目的を実現したいと思っているスタッフ「確かに目的実現のためには、人手不足に対応するために効率化必要ですね。効率化できそうなところ考えてみます!」

B店の社長「人手不足だから効率化したいんだけど、どこか現場で効率化できそうなところがないか考えてもらってもいいかな?」
社長への共感はなくお金が稼げればいいスタッフ「…は、はい。(目先の仕事で忙しいのに仕事増やされた最悪)」

どちらのスタッフと仕事がしたいですか?

実現したいことや課題を前に進めていくためには、行動と試行錯誤が必要です。
社長一人でやるのであれば、それは社長自身がやりたいことでモチベーションが高いので行動と試行錯誤は自然と生まれます。しかし、スタッフが増え会社が大きくなってくると、社長一人でできることばかりではなくなっていき、スタッフの力が必要になってきます。
行動と試行錯誤をスタッフが円滑に行うためには、スタッフのモチベーションも社長がやりたいと思う状態と同じモチベーションにしてあげる必要があります。

課題があってスタッフにお願いしたけど、全然前に進まないような経験ありませんか?
それは、そのスタッフがB店のスタッフのように課題に対するモチベーションが低いためです。「給料払ってるんだから、仕事として当然やるべきことだろう」と思う気持ちはわかりますが、スタッフも人間で感情がありますので、優先順位を下げられてしまったり、深く考えず適当に進められたりしてしまうわけです。皆さんもやりたくないことやれと言われたら嫌ですよね?それはスタッフも同じです。
これでは行動と試行錯誤がうまく回らず、社長が実現したいことを組織全体で実現していくことはできません。社長が向いている方向とは違うところをスタッフが向いており、組織としてもバラバラの状態です。

組織を引っ張っていくことができている状態というのは、スタッフがA店のスタッフのような状態になっている状態をいいます。社長の目標が社長だけの目標になっているのではなく、社長含めスタッフ全員の目標になっており、スタッフ全員が社長の目標を社長と同じように実現したいと思っている状態です。

スタッフが、社長の考えに共感をしていて、一緒に経営の目的を実現したい状態にあると、社長が必要だと思うから自分でやるのと同じモチベーションで、そのやるべきことに取り組んでくれます。結果、行動と試行錯誤は円滑に回り、深く考えてくれて質の高い結果を得ることができ、先ほどの図の流れを生むことができます。この状態であれば、社長が実現したいと思うことを組織全員で実現に向かわせることができ、スタッフが社長と同じ方向を向いているので組織としても一体感があり、チームワークのよい組織になります。もちろん普段の仕事以外で何かお願いするときだけでなく、普段の仕事をするうえでもこの状態にあるほうが成果は出やすくなります。

何をするにもまずこの部分ができていないとスタッフの動きが起きにくいので、これができていない状態で、実現や解決したいことに対して動いたり、お金をかけたりしてもスタッフが関わるものは社長が期待する結果を得ることが難しくなってしまいます。

行動と試行錯誤をスタッフが円滑に行うために、もう一つ重要なことがあります。
スタッフは経営の目的に対して共感をしているため、その指示されたやるべきことが、その目的の実現のために必要なことだと納得してもらう必要があります。

ラーメン屋さんの例え話は、効率化が目先の目的ですが、その先にある目的は経営の目的です。経営の行動はすべて経営の目的につながります。A店の社長のように「経営の目的の実現のために、これが必要だから進めていかなければいけない」と、経営の目的とやるべきことを紐づけられれば、社長の目的を実現したいと思っているスタッフは、そのやるべきことに納得することができ、より動くモチベーションにつながります。
社長と同じ方向をすでに向いていたとしても、社長と同じくそのやるべきことが目的の実現のために必要だと思ってもらうためには、ただ「これをやって」とお願いするのではなく、なぜやる必要があるのか、社長自身がやろうと思った経緯も共有してあげる必要があります。これでスタッフも納得してやるべきことが腑に落ち、社長と同じモチベーションになり行動と試行錯誤が円滑に進むようになります。

経営計画は、経営の将来について考えるものですので、経営の目的や方向性、目的実現のための将来の目標を言語化でき、明確にすることができます。明確になることで、経営計画発表会や、普段から社長がスタッフに語るなど、組織全体で共有することができ、共感や尊敬、安心を感じてもらえれば組織を引っ張っていくことができるようになります。
また、その将来の実現に向けて具体的にやるべきことまで計画を立てるので、経営の目的とやるべきことが紐づいた形で共有できるようになり、スタッフも納得して行動と試行錯誤が円滑に回るようになります。

目次に戻る

示した将来へ、組織全体で試行錯誤しながら向かっていく流れを作る

経営の目的や方向性、目的実現のための将来を示して、スタッフと一緒にそこに向かえる状態ができたら、2つ目の重要な仕事として、「示した将来へ、組織全体で試行錯誤しながら向かっていく流れを作る」必要があります。
向かうべき方向を示せても、実際にそこに向かっていないのではただの願望で終わってしまいますので、そうならないためにも、そこに向かっていく流れを作る必要があります。

そこに向かう流れを生みだすには、「計画」と「計画の運用」が必要です。

計画と計画の運用の必要性について、経営に例えるとイメージしにくいので、身近でイメージしやすいダイエットで例えてみます。
向かうべき方向は、「痩せる」です。

Aさんは、まず10キロ痩せるという具体的な目標と、期限を半年間と決めました。逆算して一か月約2キロ減のペース、一か月で2キロ減らすためには、一日の摂取カロリーを○○に制限、毎日ランニングを○○キロ行うと具体的な計画を立てました。計画としてやるべきことを毎日行い一か月後、1キロしか痩せていませんでした。立てた計画と実績の差の原因を考えながら、試行錯誤を行い、運動量を増やし、食事のメニューを変えたことで、半年後10キロ減少に成功しました。

Bさんは、とりあえず昼食を抜いて、運動を始めてみました。具体的な目標や期限も決めず、計画もないため、試行錯誤もできず、結局続かずに辞めてしまいました。

皆さんもBさんのような経験はありませんか?何か始めてみたはいいものの結局続かなかったような経験です。私もたくさんあります。
ダイエットだけでなく、勉強やスポーツなど目標がある場合はAさんのような計画性があることで目標の実現に向かっていきやすくなります。目標を実現しているスポーツ選手などAさんのように計画的にトレーニングを行って実現しています。

例えばトレーナーをつけて計画的にダイエットするのと無計画でダイエットするのはどっちが痩せられるかということです。経営も全く同じで、先ほどもご質問したように、計画的に経営をするのと無計画で経営をするのはどっちが前に進んでいくかというお話しです。

計画を立てると、目先具体的にやるべきことが明確になるので行動に移しやすくなります。大きい目標を達成しやすい小さな目標に逆算して細分化することで、大きいままだと難しく感じる目標でも簡単に見えるようになり、継続のモチベーションになります。また、計画があることで実行結果との差が生じ、計画通りにいくための試行錯誤も生まれ、より確実に目標の実現に向かっていくことができます。

こうなりたいという目標だけの経営計画を作成して終わっている会社さんも多いのですが、目指すべきところに向かうためには、その目標を実現するために、じゃあ目先具体的になにをやればいいのかまで考えられた計画がなければ、どうやってその目標の実現に向かっていけばいいのかわかりません。Bさんのように社長のその場の思い付きの実行になり、継続もされず、計画と行動した結果のズレもないので、試行錯誤も生まれません。このような状態では、経営の目標や課題が実現解決に向かうことなくただの願望で終わってしまいます。

もちろん計画を立てただけでもだめです。その計画を実行し、実行の結果を立てた計画と比べて、計画通りになるように試行錯誤していくことで、しっかり目指すところへ向かっていくことができます。これが計画の運用です。実行をしなければ目指すところへ向かっていくことはなく、試行錯誤を行わなければ目指すべきところに向かっているのかわかりませんし、向かっていなければ向かうように軌道修正することもできません。

経営の目的の実現に向けた将来の大きな目標を、逆算して小さな目標にし、小さな目標の実現のために具体的にやるべきことまで考えて計画を立て、実行して、思った結果になっていなければ計画通りになるように試行錯誤を繰り返す計画の運用を行うことで、経営の目的の実現に向かっていくことができます。

ダイエットよりも経営の方が複雑でやってみないとわからないことが多く、試行錯誤が重要なため、より計画を立てて行動と試行錯誤を行う計画の運用が重要になってきます。
売上関係など経営の目的実現のための目標はもちろん、採用関係や組織関係など、経営の課題や実現したいことがあればその解決や実現は目標になりますので、経営全体を前に進めていくために、計画と計画の運用の考え方に当てはめることができます。

ずっと実現したいなと思っていたり、この課題解決したいなと思っていたりするけれど、そのままになっているようなことありませんか?
それはその課題に対してBさんのような状態になっているということです。計画と計画の運用の流れに乗せてあげないとなかなか解決には向かっていかず、ずっとそのままになってしまいます。その実現したいことや解決したい課題を計画と計画の運用の流れに乗せてあげて一つずつコツコツ実現、解決していくことで、より好循環が生まれ、強い経営体質になっていきます。

経営者ひとりで出来ることは限られるため、組織全体で目標に向かっていく必要もあります。
組織全員で目標の実現に向かう流れを生むためには、経営の目的や方向性、示した将来と一緒に、その将来の実現のために立てた具体的な計画も組織全体に共有してあげることが必要です。
目標実現のための具体的な計画を全員に共有することで、みんなで向かおうという流れが生まれます。目標だけを共有しても、勘の鋭いスタッフだったら「じゃあどうやって実現するの?」って思われてしまいますので、そうならないように、具体的な計画も共有します。

経営計画は、経営の目的の実現や課題の解決に向けた将来の計画を立てるものなので、大きな目標を目先の小さな目標に逆算し、目標実現に向けて具体的にやるべきことまで計画を立てることができます。具体的にやるべきことまで計画を立てることで行動につながり、立てた計画を運用することで試行錯誤の場を生み出せるので、行動と試行錯誤が回り、示した将来に向かうための目標や課題解決の実現にしっかり向かっていく流れを作り出すことができます。
また、経営計画発表会などで経営の将来を共有する際に、その計画も組織全体に共有することで、組織全員でその実現に向かっていく流れを生み出せます。

目次に戻る

戦略戦術について、複雑で考えることが多岐にわたる経営全体を網羅的に考えて決める

重要な仕事の3つ目は、「戦略戦術について、複雑で考えることが多岐にわたる経営全体を網羅的に考えて決める」ことです。

中小企業・零細企業の経営者は現場にも出てらっしゃる方も多く、経営の仕事と現場の仕事の線引きが曖昧になってしまっている方が多いので、線引きを理解するためにも戦略戦術戦闘のお話を少ししたいと思います。 イメージしやすいようにスポーツに例えてみます。

野球やサッカーなどチーム制のスポーツでは、監督と選手がいます。
監督は、試合に勝っていくために、大枠の戦略を考え、その戦略を実現するために具体的に実行できる戦術に落とし込みます。監督の戦略と戦術は選手に伝えられ、それを実現できる技術のある選手たちが試合で戦闘をしてきます。戦略戦術がしっかりしていないと選手たちに高い技術があっても、うまく試合に勝つことは難しいでしょう。

この考え方は経営も同じです。経営の戦略戦術を考えるのは経営者の仕事です。その戦略戦術を現場で実現するために、現場技術のあるスタッフたちが戦闘という形で現場を回していきます。経営の戦略戦術がしっかりしていないと、いくら現場スタッフの技術が高くても、商品の販売数を最大限にしたりすることはできないでしょう。

大企業でも経営者が交代し、戦略戦術が大きく変わり、業績が右肩上がりになった会社もあれば、大きく悪化した会社もあります。それだけこの戦略戦術部分が、経営をするうえで重要ということです。

売上関係は会社の存続に直結するため、皆さん深く考えられると思うのですが、現場がうまく回るための仕組みなどの組織面や管理面は後回しになりがちです。経営を円滑に回すために強い体質の組織を作り上げるには、売上関係はもちろん、採用や組織、管理など売上関係以外のことも検討し、経営の一部だけではなく全体を前に進めていく必要があります。

また、この戦略戦術について、経営は複雑で考えることが多岐に渡ります。経営計画という考え方、仕組みに頼らずに経営者の頭だけで網羅的に考えるには限界があります。検討すべきことが漏れていると、いつの間にかクレームが多発していたり、スタッフがすぐやめてしまう状態になっていたり、気が付かないところで大きなリスクが発生していたりするかもしれません。

中小企業、零細企業でもこういう状態にしたいや解決したい課題は、考えれば山ほどあると思います。考えることを放棄したり、ありすぎてどれから手を付けたらよいのかわからず、結局何も手につかなかったでは経営は何も変わりません。

経営全体について網羅的に考えて、経営の目的実現のための戦略戦術の検討や、実現したいこと、解決したい経営課題を洗い出して整理をする。
優先順位を考えて前に進めるものを決め、進めるために具体的に何をやるべきかまで考える。
計画と計画の運用の流れに乗せてあげて行動と試行錯誤を繰り返し、組織全体でコツコツ進めていく。
この流れが先ほどの図の流れであり、経営全体を前に進めるうえで、ものすごく大事になってきます。この流れを続けることで、戦略戦術や実現したい事、経営課題が実現や解決に向かい、これを行っていない企業との大きな差が生まれてきます。

経営計画は、経営の現状や将来について経営全体を検討するため、戦略戦術について検討したり、現状から売上、採用、組織、管理など経営全体について網羅的に実現したいことや課題の洗い出しを行い整理することができます。
また、具体的に前に進めるための計画を立てるため、優先順位を考えて何を前に進めるのかを決めることができます。決めたものを先ほどの計画と計画の運用の流れに乗せてあげることで、実現や解決に向かわせることができます。

目次に戻る

経営を継続させる

4つ目の重要な仕事は、「経営を継続させる」ことです。

そもそも経営を継続できないと、経営のミッションや理念、目標を実現することができません。
皆様のこだわりの商品を必要としているお客様に届け続けることや、自分の生活、スタッフの生活を守っていくこともできません。

質問です。
皆さんが向かおうとしている将来、黒字ですか赤字ですか?

「そんなのわかるかぁ」と言われてしまいそうですが、予測ではなくて、目標として向かっている将来の話です。どっちか分からない方、経営計画を作ると向かうところが黒字なのか赤字なのか見ることができます。

これだけでも少し将来の不安解消されるのではないでしょうか。頑張って経営計画を運用して実現できればその状態にすることができます。将来の不安ってやっぱりお金の面が大きいと思います。どんなに経営で失敗しても、お金がわいてくるなら全然不安ではないですよね。
会計学を使って、正しい利益と、利益を考えるタイミングとは時間差でズレが生じるお金の動きの二つを把握できると理想的です。お金の動きまで見えるようになると、大分将来の不安が解消されるでしょうし、そのお金の動きを実現するために目先やるべきことに集中することができます。

経営計画と聞くと、会計数字をイメージする方も多いと思います。

経営を続けるには利益が必要で、利益を把握するために会計学という学問があります。
経営の将来を考えたときに、その将来が赤字の将来でそのまま向かってしまっては経営を続けることはできなくなってしまいます。
赤字の方向に向かわないためにも、経営計画を作る際に会計面の検討を必ず行います。

経営をするうえで会計は必要不可欠です。みなさん赤字のビジネスだとわかっていたらそこに突っ込んでいかないですよね?何かを決める時に必ず会計視点の検討を行わないと、いつの間にか赤字に突っ込んでいっている可能性もあります。赤字が継続して現金がなくなったらゲームオーバーです。

経営を継続させるために、経営の将来や計画を考え運用する際に会計面の検討を行うことで、安全に経営の目標に向かうことができます。

経営計画は、経営の将来を考える際や運用する際に会計面の検討を行うため、安全に経営を前に進めることができ、経営を継続させることができます。

目次に戻る

中小企業・零細企業にも必要なのか

経営計画の必要性や効果のお話をしましたが、そもそも大企業はいいとして、中小企業・零細企業にも必要なのかというお話をしたいと思います。

もしかすると、「現状維持でいいから別に目標もいらないし、経営計画なんて必要ないでしょ」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

一昔前であれば、現状と同じ経営を続けていても継続できたかもしれませんが、今は世の中の変化や競争が激しく、同じ経営を続けていて一生現状を維持できる状態ではなくなってきました。
インターネットの普及により購買ルートが変わったり、スマホの普及により広告導線が変わったり、人口減少人手不足により工夫しないと人が集まらなくなったり、少し考えただけでも経営に影響する変化はたくさんあります。経営をしている皆さんが一番リアルに変化を肌で感じているのではないでしょうか。

周りは変化に合わせて前に進んでいますので、現状維持でいいからと何もしなければ、売上が減少してしまったり、今いるスタッフもほかの魅力的な会社に移ってしまったり、世の中の変化から取り残されて衰退していってしまいます。

現状維持をするためにも、変化や競争に対応していくために工夫した目標を設定し、そこに向かって計画的に経営を前に進めていくことが必要になってきています。
現に町の本屋さんネット販売の出現で消滅してしまいました。今生き残っている町の本屋さんは先を読んで、例えばお客様に合わせて本を選んであげるサービスや、カフェを併設するなどうまく差別化させたところだけです。たまに大企業の破産ニュースも聞きます。大企業だから安定といった時代も終わりました。それだけ変化が激しい世の中になっています。

世の中の変化や競争に対応していくには、ご説明した4つの重要な仕事がすべて必要になってきます。将来を見てリスクを見つけて考え、スタッフ全員で回避できるように安全に前に進めていく。リスクを見つけても具体的な対応を前に進められなければ回避できません。

世の中の変化の影響は、もちろん大企業だけでなく中小企業・零細企業にも影響してきます。生き残っていくためにも、将来を考える経営計画を運用し、世の中の変化や競争にも戦略的に先手で対応して前に進めていく、そのような経営が中小企業・零細企業規模に関係なく必須の時代に突入していると私は思います。

目次に戻る

経営計画の正しい運用方法が中小企業・零細企業に広まっていない

いかがでしたでしょうか?
経営計画を運用する価値や、その価値を生み出すために必要な4つの重要な仕事、その仕事が経営計画を運用することで網羅できることが、ご理解いただけましたでしょうか?

経営の土台であるこれらの仕事を網羅できる経営計画は、非常に優れた考え方・仕組みです。
現場に出ていたりして、経営者として経営部分の仕事が出来ているか不安に思ったことはありませんか?
経営計画さえ運用できれば、現場の仕事ではない経営者の仕事である経営部分の重要な仕事を一通り網羅することができます。

経営計画と聞くと、銀行や、補助金の申請のために作るもののほうをイメージされる方が多いかもしれません。銀行から求められる経営計画は、銀行が融資をしても回収できるか判断するために現実的な計画を要求してきます。補助金の申請のための計画は、審査員からいい評価を得て申請を通すことが目的になってしまい、非現実的に盛って作ってしまったり、歪んだ計画になりがちです。どちらも自社で目標として追いかけるためではなく、目的が相手を納得させるためになってしまい、具体的な行動計画もなく運用できる形式にすらなっていません。

私は、誰かを納得させるためだけに作る経営計画は、本来の経営計画ではないと思っています。本来の経営計画は、誰かを納得させるために作るのではなく、自社が実現したいと思う目標に向かっていくために、必要だから作り運用するものだと思います。「計画」ですからね。作っても具体的にやることまで落とし込まれておらず、追いかけられないのであれば「計画」ではありません。ただそうなりたいという願望を示しただけです。

よく検索して出てくるテンプレートも銀行向けなどで、計画というよりこうなりたいという願望を書くだけで、運用できるものになっていないものが多いと感じます。
運用向けのものでも、専門用語ばかりで難しい、ボリュームも多すぎる、複雑であまり理解できない、など敷居が高く運用までたどり着けないのではなんの意味もありません。
作成したものをベースにスタッフにも共有して理解してもらうためには、スタッフでもある程度分かる内容である必要があります。
今回お伝えした経営計画の運用価値を得るためには、難しい用語を使って内容の量があればいいのではなく、また自社で運用するものは外に見せるものでもありませんので綺麗な見た目よりも、自分たちにとってわかりやすく、自分たちが目標に向かうためにとにかく運用できるものであることが重要です。

大企業の経営者は、経営計画を運用する価値を理解しており、ご説明した重要な仕事を行うために当たり前に経営計画の運用という考え方・仕組みに頼って経営をしていますが、中小企業・零細企業にはその必要性や効果、正しい運用ノウハウが広まっていません。

経営計画の正しい運用は、運用ノウハウや運用上必須の会計知識がないとなかなか難しいのが現状です。
難しいので、運用できる人材が少なく、自社でその人材を集めるコストも高いため、中小企業・零細企業に広まっていないのです。法律上必要なものでもなく、自社での運用を誰かに求められるわけでもありませんので尚更広まりません。

皆さんの身近にいる会計のプロである税理士さん会計士さんでも、残念ながら経営計画の本来の使い方や必要性、運用ノウハウを理解されている方が少ないのが現状です。私も税理士なのでわかりますが、試験勉強で学ぶわけでもなく、仕事の内容も税金関係は深くアドバイスを行うのですが、会計部分は基本的に、会計資料を活かす部分ではなく、その手前の作ったり、チェックをしたりする部分の仕事がメインになりますので当然のことかもしれません。

大企業は運用できる人材を集め、経営企画部などを設置し、経営者だけでなく経営計画を運用するうえで必須の会計面のプロなどと一緒に、経営計画の運用を行っています。

このままでは、中小企業・零細企業が経営にとって重要な経営計画の運用を行うことができません。

そこで、運用ノウハウのある私たちが、経営計画を運用できる中小企業・零細企業を一社でも多く増やすために、会計の知識がなくても質問に答えるだけで最低限の経営計画を作成、運用できる資料を作り、無料でご提供しています。
>経営計画作成運用無料資料はこちら

資料だけでは難しい場合もあるかと思い、経営計画の作成運用セミナーもオンラインで開催しております。
>経営計画作成運用セミナーはこちら

是非、資料やセミナーを活用して経営計画を運用できる経営者になりましょう。

目次に戻る

一人だと運用が難しいと感じたら

無料資料を使っても経営者一人で効果的に運用するのが難しい場合もあるかと思います。

経営者の皆様はお忙しいかと思いますので、作ったのはいいけれど、後回しになってしまって結局運用せずに終わってしまったり、第三者がいないとなかなか効果的に運用することが難しかったりする場合もあるかと思います。無料資料はどなたでも運用できるように最低限にしていますので、もう少し深く網羅的に検討して、より効果的に運用したいと思うこともあるかと思います。

そのような場合は、大企業が会計のプロと一緒に運用を行っているように、私たちなど、是非運用ノウハウのある外部の専門家を頼っていただければと思います。中小企業・零細企業でも導入可能な金額で経営計画を運用できるようになり、その価値を得られれば費用以上のメリットが得られます。
効果的に運用できるようになることはもちろん、強制的に運用の時間を作ることもでき、手を動かさずに重要な考える部分に専念することもできますのでおすすめです。

私たちのお客様でも計画を実行し、しっかり回されているお客様はどんどん実現したいことを実現させ、課題を解決していって、強い会社に成長していってらっしゃいます。
是非、必要だとは思うけど自分で運用するのは難しいという方は、検討してみてください。
>経営計画の運用を支援する経営管理支援オンライン全国対応ver.はこちら

目次に戻る

税金の申告や会計資料の作成だけでなく、会計を経営にフル活用していく事務所です。

経営計画を一緒に作成し、効果のある運用を行う経営管理支援をご提供しています。

大企業が当たり前に導入している経営管理を中小零細企業にも広めたいと考えています。

経営管理支援はオンラインで全国対応(税理士変更不要)しており、無料体験もご用意しております。

経営管理を導入すると…

  • 業績を上げたいなどの経営の目標が明確に見えるようになり、試行錯誤しながらそこに向かう流れが生まれる
  • 経営の目標に向かうために、今何をやればよいのかが明確になる
  • 会計をフル活用できるようになり利益やお金の不安が軽減され、経営がより強く安全になる
  • ミッション・ビジョン・戦略・戦術など経営全体の方向性を整理できる
  • 考えることが多岐にわたる経営全体について網羅的に考えることができるようになる
  • 経営全体が円滑に回るように経営基盤を安定させる流れが生まれる

など、経営にとってプラスの効果がたくさん生まれます。

経営管理支援オンライン全国対応ver.特設ページはこちら

商品内容については是非、当事務所ホームページをご覧ください。

TOPページはこちら

当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

当税理士事務所は、経営計画を一緒に作成し、効果のある運用を行う経営管理支援をオンラインで全国対応しています。

経営管理支援はこちら