コロナ関連休業補償給付金融資など資金繰り改善情報【事業者向け】
2020.04.23
・新型コロナウイルスの影響で売上が下がってきてお金が回るか不安
・新型コロナウイルス関連で事業資金についてどんな支援があるか知りたい
・休業要請が出ているけど休業補償があるのか知りたい
新型コロナウイルスの事業への影響は、どんどん拡大してきています。
売上の減少は中小企業の資金繰りに大きな影響をもたらします。
お金が回らなくなれば、事業を継続することはできません。
今回の影響を乗り越えるために、中小企業が資金繰り関係で出来ることのうち特に効果の高いものを、資金繰り支援をしている税理士がざっくり理解できるようにまとめてみました。
国の制度を中心にまとめています。
※2020年5月17日時点の情報になります
■このコラムでわかること
・国の制度の中小企業の新型コロナウイルス資金繰り対策で今出来ることのうち効果の高いものがわかる
■コロナ関連休業補償給付金融資など資金繰り改善情報
・新たな融資制度を利用する
・給付金を利用する
・生命保険や経営セーフティ、小規模企業共済の契約者貸付を利用する
・雇用調整助成金の特例措置を利用する
・厚生年金保険料等の猶予制度を利用する
・国税・地方税の納付の猶予制度を利用する
・補助金を利用する
■新たな融資制度を利用する
現状、素早く大きく資金繰りを改善させる方法は融資が一番近道だと思います。
国も融資関連はかなり力を入れています。
経済産業省の「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」というパンフレットでは、政府が、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることがないよう、関係機関と連携し、政府系金融機関等に対して計4回要請を行ったと記載があります。
【要請内容一部抜粋】
・個々の実情に応じた柔軟かつ積極的な対応
・全力を挙げて最大限のスピードで万全の対応を行うこと
・赤字、債務超過等の形式でなく実情に最大限配慮すること
要請内容から、今回の影響で中小企業を倒産させないために柔軟な対応が行われることが推測されます。
具体的な融資制度内容
1.信用保証協会関連
セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証
信用保証協会って?
民間の金融機関で融資を受けると、信用保証協会の保証料がかかっていることがあります。
民間の金融機関は、中小企業にお金を貸して、返してもらえなくなったときに困るので、
信用保証協会に返してもらえなくなった時の保証してもらう(保証料金を借りる側が支払う)ことで、融資をしやすくする場合があります。
よほど会社の業績が良くて、信用がなければ信用保証協会が融資に絡んでいる場合が多いです。
あなたが誰かにお金を貸すときに、返してもらえなくなった時の保証を誰かがしてくれたら貸してもいいって思いますよね?
その心理です。
通常、信用保証協会の保証の枠というのは、2億8000万円(うち無担保でいいのは8,000万円)が上限です。
その上限が、セーフティネット保証4号・5号で通常と別枠として2億8,000万円(うち無担保でいいのは8,000万円)
危機関連保証で、さらに別枠として2億8,000万円(うち無担保でいいのは8,000万円)が設けられました。
無担保であれば最大8,000万円の3枠で最大2億4,000万円まで借りやすい保証枠が設けられたことになります。
!注意!
※枠内であれば必ず借りられるわけではありません。借りたお金は返す必要があるため、将来的に返済が可能かどうかの判断は、銀行や信用保証協会でされることになります。
融資を受けるうえでの基本的な考え方はこちらの記事が参考になります。
別枠の保証枠は、売上高の減少や業種など要件はありますが、要件に該当していれば、融資を受けやすくなっていると思いますので、お付き合いのある銀行の担当者などに相談してみましょう。
経済産業省のホームページに新型コロナウイルス感染症関連の支援策がまとめられたサイトがあります。
ここでご紹介する支援策の具体的な要件などまとめられていますので、是非ご覧ください。
先ほどご紹介したパンフレットも最新版がこちらからダウンロードできます。
2.無利子・無担保融資
政府系の金融機関である日本政策金融公庫(創業時に融資を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか)、商工組合中央金庫が今回の影響に対する特別枠の融資制度を設けています。
日本政策金融公庫:新型コロナウイルス感染症特別貸付 概要
【担保】無担保
【貸付期間】設備20年以内、運転15年以内
【うち据置期間】5年以内
【融資限度額(別枠)】中小事業3億円、国民事業6,000万円
商工組合中央金庫:危機対応融資 概要
【担保】無担保
【貸付期間】設備20年以内、運転15年以内
【うち据置期間】5年以内
【融資限度額】3億円
こちらも売上高の減少など要件があります。
うまく要件に該当すれば、利息の補助も受けられ、実質無利子で融資を受けることが可能になる制度です。
※利子の補助は融資の申し込みとは別に手続きが必要になりますのでご注意ください。
据置期間があるのも魅力的です。長期の融資を受けると毎月返済が必要なため、返済の原資が必要になってしまいます。
捻出が難しい状況、資金繰り回復の予測時期が難しい状況ですので、元金の返済をしなくてよい期間(据置期間)はできるだけ長くとりたいところです。
すでに日本政策金融公庫や商工組合中央金庫から借りているものの借換で上記制度を利用することもできます。
すでに借りているものの利息を減らしたり毎月の返済金額を減らしたりすることが可能です。
3.保証料・利子減免
政府系の金融機関だけでなく、民間の金融機関でも、実質無利子で借入や借換を行うことができるようになります。
信用保証付き融資における保証料・利子減免 概要
セーフティネット4号・5号・危機関連保証のいずれかを利用した場合に売上高等の減少を満たせば、保証料補助と利子補給を実施。
【担保】無担保
【据置期間】5年以内
【融資上限】3,000万円
借換も対象となりますので、すでに借りているものの利息を減らしたり毎月の返済金額を減らしたりすることが可能です。
こちらは民間の金融機関での対応になりますので、お付き合いのある銀行の担当者などに相談してみましょう。
4.セーフティネット貸付の要件緩和
売上高の要件が、直近の実績と過去との比較となっており、近い将来売上高が落ちる見込みがあるのに・・・
という方も多いと思います。
日本政策金融公庫のセーフティネット貸付の要件が緩和されています。
日本政策金融公庫:セーフティネット貸付 概要
【融資限度額】中小事業7.2億円、国民事業4,800万円
【貸付期間】設備資金15年以内、運転資金8年以内
【据置期間】3年以内
「売上高が5%以上減少」といった数値要件にかかわらず、今後の影響が見込まれる事業者も含めて融資対象にするという要件の緩和が行われています。
5.その他
外出自粛の流れで、特に影響の大きい旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業などの事業はさらに手厚く融資制度が拡充されております。
融資に関しては、何も考えず相談に行けば借りられるわけではないので事前に税理士などに相談の上、日本政策金融公庫や民間の金融機関の方と連携して話を進められるとスムーズに進むかと思います。
最新の情報は、経済産業省のホームページから入手してください。
■給付金を利用する
国の支援策から返さなくていい支援制度が出てきました。持続化給付金です。
返さなくていいお金になりますので、要件に該当する方は利用しましょう。
・給付対象者概要
中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者等、その他各種法人等で、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者
・給付額概要
前年の総売上(事業収入)ー (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)
※上記の算出方法により、法人は200万円以内、個人事業者等は100万円以内を支給。
特設サイトが設けられています。詳しい要件や申請方法についてはこちらをご覧ください。
当事務所でも申請方法についてわかりやすく解説をしていますので、合わせてご確認ください。
>持続化給付金申請書類申請方法【中小企業200万円個人事業主100万円給付コロナ休業補償】
■生命保険や経営セーフティ共済、小規模企業共済の契約者貸付を利用する
解約した際に戻りのある生命保険や、経営セーフティ共済、小規模企業共済などに加入されている方は、保険会社から貸付を受けられる可能性があります。
保険会社によっては今回の状況を踏まえ無利息で貸付を行っているところもありますので、保険会社にいくら借りられるのか相談をしてみるのも一つの方法です。
■雇用調整助成金の特例措置を利用する
こちらは助成金なので不正がなければ返す必要のないものになります。
従業員を雇っている方は、売上が立たず、固定費である従業員の給料の負担に悩まれている方もいらっしゃると思います。
この制度は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。
概要
【助成率】解雇等を伴わない場合、大企業3/4、中小企業9/10
※休業要請を受けるなど一定の要件を満たす場合は、助成率を100%とする特例が設けられました。
【支給限度日数】1年間に100日の支給限度日数とは別枠で利用可能
雇用維持、従業員の生活維持のための給料は固定費のうち大きい割合を占めるため、資金繰りとしても助成金の効果は大きいです。返す必要がないという点も大きいです。
雇用調整助成金については、要件緩和など動きが大きいので最新の情報を入手して行動してください。
詳しい要件や申請方法などは、最寄りの労働局またはハローワークへお問い合わせください。
>雇用調整助成金の詳しい内容が書かれた厚生労働省のページはこちら
■厚生年金保険料等の猶予制度を利用する
従業員数が多い企業ですと、社会保険料の支払額も大きくなります。
猶予制度がありますので、猶予をすることで一時的に資金繰りをプラスにもっていくことが可能です。
>厚生年金保険料等の猶予制度に関する日本年金機構のページはこちら
■国税・地方税の納付の猶予制度を利用する
税金についても猶予制度があります。
消費税など利益がなくても納税額が多額になりやすい税金もありますので、納付の猶予制度を活用するのも一つの方法です。
■補助金を利用する
補助金に関しては資金繰り改善というよりは、コロナ終息後に備えた先行の動きを補助するという形になります。
余裕のある方で、該当するものがあれば是非チャレンジしてみてください。
コロナの影響を受けた方へ、採択審査の加点があるものもありますのでご活用ください。
補助金ですので返す必要はありませんが、先に費用をしておく必要があります。
①ものづくり・商業・サービス補助
新製品・サービス・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援
【通常枠】 補助上限:1,000万円 補助率:中小1/2、小規模2/3
【特別枠】 補助上限:1,000万円 補助率:中小2/3、小規模2/3
②持続化補助
小規模業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓等の取り組みを支援
【通常枠】 補助上限:50万円 補助率:2/3
【特別枠】 補助上限:100万円 補助率:2/3
③IT導入補助
ITツール導入による業務効率化等を支援
【通常枠】 補助上限:30~450万円 補助率:1/2
【特別枠】 補助上限:30~450万円 補助率:2/3
※経済産業省の資料を参考にしております。
最新の情報は、経済産業省のホームページから入手してください。
■まとめ
入金を早められるものは早め、お金を入れられるものは入れ、支払いを遅くできるものは遅くさせることで資金繰りがよくなります。
しかし、融資や猶予制度は支払がなくなるわけではありませんので、支払いが始まった時にお金が回るかを考えることが非常に大切です。
今回の影響は長期化することが予想されます。
資金繰り対策だけでなく、今の状況で新たなニーズに対して売上を上げる手を打てないかなど、社会環境に合わせた経営判断を行うことも大切になると思います。
全国的にも徐々に感染者数が増えてきており、融資など相談件数が増加してくることが予測されます。
最悪の事態を想定し早めに行動をすることをお勧めいたします。
国単位ではなく、今後都道府県単位や市区町村単位での支援策が増えてくる可能性もあります。
情報を漏らさないようアンテナを張っておきましょう。
このような状況下に強い会社を作るためには、会計を経営に活かすため経営計画をしっかりと作り、運用することが大切です。
返済の可能性がわかれば融資関係もスムーズに進み、先手先手で行動することで、倒産のリスクを最小限に抑えることができます。
税金の申告や会計資料の作成だけでなく、会計を経営にフル活用していく事務所です。
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経営管理を導入すると…
- 業績を上げたいなどの経営の目標が明確に見えるようになり、試行錯誤しながらそこに向かう流れが生まれる
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